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2017.09.25

新たな国民病『慢性腎臓病』とは?

慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)をご存知ですか?
様々な要因で腎臓の障害が慢性的に続く状態を指します。日本では成人の約8人に1人が慢性腎臓病と推計されています。慢性腎臓病はゆっくり進みますが、悪化すると機能の回復は困難で、腎不全へと進行します。早期発見、早期治療が大切な病気です。

そこで今回は『慢性腎臓病』に関するお話です。

腎臓はどんな臓器なの?

腎臓は腰の少し上の背骨を挟んで左右に1つずつ、計2つあります。1つの腎臓にはネフロンという血液のろ過装置が約100万個あり、その1つ1つで尿が作られ、血液中の老廃物や不要物を余分な水分とともに排出しています。その他にも、

①尿を作る過程でイオンバランスを調整し体内環境を一定に保つ
②血圧を調整する酵素を分泌する
③赤血球をつくる造血因子を分泌する
④骨の維持に必要なビタミンDを活性化する

など重要な働きをしています。

腎臓のおかげで、多少の暴飲暴食をしても体重は一定に保たれ、体は正常な状態に保たれていると言っても過言ではありません。

症状と診断は?

初期には自覚症状はありません。病気が進行すると、夜間尿、貧血(立ちくらみなど)、倦怠感(だるい、疲れやすい)、浮腫、息切れなどの症状が現れます。これらが自覚されるときには、すでに病状がかなり進行している場合が多いといわれています。体調の変化だけでは早期発見は難しいのです。

早期発見のためには、定期的に健康診断などで、尿蛋白の有無や血液検査で血清クレアチニン値(筋肉でつくられる老廃物の1つで、腎臓から排出されるため腎臓のろ過機能の指標)を調べることが重要です。

慢性腎臓病は、次の(1)、(2)のいずれか、または両方が3ヶ月以上続いた場合に診断されます。

(1)尿検査、血液検査、画像診断などで腎障害が明らかであり、特に0.15g/gCr以上のタンパク尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)がある。
(2)糸球体濾過量(GFR)が60mL/分/1.73㎡未満である。

重症度はステージ1からステージ5の5段階に分けられています。指標となるのが推算糸球体濾過量(eGFR)です。これは、腎臓の「老廃物を尿へ排泄する能力」を示しており、血清クレアチニン値と年齢と性別から計算されます。

主な原因は? ~生活習慣病に注意~

糖尿病、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病や、慢性糸球体腎炎(IgA腎症など)があげられます。特に、過食と運動不足によって内臓脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満に、高血糖、高血圧および脂質異常の2つ以上を合併したメタボリック症候群の方は、注意が必要です。
また、次にあてはまる方もリスクがあります。

①高齢者、家族に慢性腎臓病の患者がいる
②生まれつき腎臓の形態異常がある
③過去の健診で検尿異常や腎機能異常を指摘された
④急性腎不全の既往がある

腎臓に悪い影響を与える薬を常用したり、膠原(こうげん)病や感染症などの全身疾患が原因となることもあります。

進行したらどうなるの?

慢性腎臓病があると、脳卒中や心筋梗塞などの心血管病を発症しやすくなると言われています。なぜなら、その危険因子である高血圧症や糖尿病、脂質異常症などは、動脈硬化を促進し、心血管病の原因と共通しているからです。
病気が進行して腎不全になると、体内から老廃物を除去できなくなり(=尿毒症)、最終的には透析療法や腎臓移植などの腎代替療法が必要になります。末期腎不全による透析患者数は2014年には32万人に達しており、高齢者が増加する今後は、ますます早期発見、早期治療で腎不全を防ぐ必要があります。

治療と予防は?

腎臓機能を悪化させないための総合的な治療が行われます。生活習慣病など明らかな原因疾患がある場合は、その治療を行いながら、重症度(ステージ)に応じて食事療法(エネルギー・塩分・たんぱく質・カリウム制限)を行います。腎臓機能が低下し、貧血が進行したり、体内のイオンバランスが乱れたり、ビタミンD不足がみられたら、その機能を補う薬物治療を行います。

予防にはまず、発症のリスクとなる生活習慣の改善が大切です。
適切な食事量と運動で肥満を予防し、規則正しい生活を送りましょう。
また、過度の飲酒を控え、禁煙に努め、鎮痛薬などの多用もやめましょう。すでにリスクのある方は、定期的に健康診断等で、腎臓機能の経過をみていきましょう。生活習慣病で通院中の方は、主治医の指示に従い、必要時には腎臓内科で専門的な治療を受けてくださいね。

最後に・・・

駆け足で慢性腎臓病についてお話しましたが、大切なことは生活習慣病を予防すること、定期的に健康診断の尿検査や血液検査で腎臓機能をチェックすることです。重要な臓器である腎臓を守って、健康な生活を送りましょう!

監修

腎臓内科医: 黒田
参考・引用:・日本腎臓学会診療ガイドライン
 『生活習慣病からの新規透析導入患者の減少に向けた提言』
  https://www.jsn.or.jp/guideline/guideline.php
・知ろう、防ごう慢性腎臓病
  http://www.kyowa-kirin.co.jp/ckd/index.html

出展:一般財団法人日本予防医学協会
   https://www.jpm1960.org/