病気  糖尿病 
2018.02.01

実は歯だけではない!体全体にまで影響を及ぼす歯周病の恐怖

ギネスブックに登録されている、世界で最も患者数の多い病気が「歯周病」です。日本でも成人の8割以上が患者と言われているほどの、まさに国民病の一つです。

さらに、これまでは「口の病気」とされていた歯周病ですが、最近では、全身の病気として「糖尿病」や「呼吸器の病気」、「循環器の病気」などの病状に悪影響を与えたり、反対にそれらの病気が歯周病を悪化させることが判ってきました。知れば知るほど恐ろしい歯周病について、原因や体全体に影響を起こすメカニズムを解説してもらいつつ、歯周病予防や治療方法を教えていただきます。

Q1.歯周病はどういう病気ですか。なぜ多くの人が抱える病気となるのでしょうか。

歯周病とは、歯周組織に炎症が起きる疾患の総称です。主に、歯肉炎・歯周炎が挙げられます。
「歯肉炎」は、歯肉だけに腫れや出血などの炎症が起きることを指し、「歯周炎」はその炎症が拡大し、歯と歯肉の間の付着器官が溶けて歯周ポケットが深くなったり、歯槽骨を破壊したりすることです。そして、更に炎症が進み重度になると歯を失うことになります。

現在、歯を失う原因は、むし歯を抜いて歯周病が第一位です。歯周病は、世界で一番発症率の多い病気としてギネスにも登録されています。多くの人が抱える病気となったのは、歯周病が生活習慣病としての一面を有しているからといえます。

歯周病は、歯肉溝、歯周ポケットに存在するプラークが原因で引き起こされ、プラーク中の細菌と生体防御機能とのアンバランスにより、発症、進行します。しかし、生活習慣とも密接に関わっていて、中でも喫煙、食生活の乱れ、不規則な生活、ストレスなどが歯周病を悪化させやすいといわれています。

歯周病は悪化すると完治が困難な病気であるため、予防がとても大事です。それにも関わらず、国民皆保険制度によって「病気になってから治そう」という意識が強い日本では、歯周病の発症率は高いといえます。

Q2.今から20年近く前、「Floss or die」というコピーがアメリカで発信されましたが、これはどういう意味なのでしょうか。

歯周病と全身には密接な関わりがあり、全身疾患が歯周病を進行させることが明らかになっています。例えば、糖尿病や骨粗しょう症、白血病などです。
そして、その逆も報告されています。歯周病が全身疾患を進行している場合があるということです。

高齢者の場合、歯周病が誤嚥(ごえん)性肺炎を引き起こすリスクが非常に高くなるということや、妊婦さんの場合では、歯周病が早産や低体重児につながってしまうことなどが報告されています。他にも、心疾患や糖尿病などが挙げられ、また最近では認知症の報告もあります。

Q3.歯のケアの中で、一番のおすすめを教えてください。

歯ブラシは基本のケアになるため必須ですが、フロスや歯間ブラシ、口内洗浄などの補助清掃用具も積極的に使用することをおすすめします。

フロスは歯と歯の間のむし歯予防に効果的ですし、歯間ブラシは歯周病の方は必ず使うべきでしょう。歯間ブラシですが、正しいサイズを使用すると効果が上がるため、用具の選び方や磨き方はかかりつけの歯科医や衛生士に相談してみるとよいですよ。

歯の磨き方のコツや、磨き残しの指摘などを適切にしてくれるかかりつけの医院を持つことが、大切な歯を長持ちさせることにつながるといえます。

Q4.全身疾患の患者さんの中には、歯周病を悪化させる人もいると聞きますが、そういう人たちは歯ブラシなどの口内ケアだけでは足りないのでしょうか。

糖尿病など、歯周病を進行させやすい全身疾患を患っている場合、疾患の治療を受けるとともに歯周病の治療、定期的なメンテナンスが非常に重要になってきます。

歯周病の場合、歯を磨くだけでは歯周病は治らないため必ず治療が必要ですし、治療だけ受けていても歯磨きが不十分だと歯周病は治らないので、歯科医院と本人のブラッシングの連携がとても大切です。

歯周病は痛みや症状の出にくい病気で、痛みが出る頃には手遅れで歯を失ってしまう場合もあります。日本では、何年も歯科医院に行っていなかったり、歯周病健診を受けていない方がとても多いです。まずは、自身の歯の状態やブラッシングの状態などを正確に把握することが、歯を守る第一歩といえます。

 

参考図書(歯周病の病態については大学の教科書を一部参照)
臨床歯周病学 医歯薬出版株式会社

監修

歯科医師: 彦坂 実な美