尿酸  病気 
2018.02.01

油断していると危険!?痛風が若者に増えている理由

昔、「贅沢病」と言われていた痛風が、今、若者に増えていることをご存知でしょうか。

足の指が痛くなる、ビールを飲み過ぎるとプリン体を摂りすぎて痛風になる、ということは有名で、さらに中年男性に多いというイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。それがなぜ、若者の間で増加しているのか。そもそも痛風とはなんでしょうか。痛風と同様に、尿酸値が高くなると心配される「高尿酸血症」とあわせて、判りやすく解説していただきます。

Q1.「高尿酸血症」は、「痛風」と同じことなのでしょうか。2つの病気について教えてください。

体の細胞は新陳代謝を繰り返しています。いらなくなった細胞が処理される過程で、細胞に含まれる核酸という物質が肝臓で化学変化を受けてプリン体となり、最終的には尿酸になります。食事に含まれるプリン体も肝臓で化学変化を受け、最終的には尿酸になりますが、血液中の尿酸のほとんどは、自分の体の細胞に由来するものなのです。
この尿酸が血液中に多く含まれる状態が「高尿酸血症」であり、血液検査上、血清尿酸値7.0mg/dLを超える場合を指します。

高尿酸血症の状態が続いた場合、尿酸が血液や組織の中で溶けきれなくなり、尿酸ナトリウムという針状の結晶ができることがあります。この結晶が関節や腎臓に沈着した状態を「痛風」と呼んでいます。

Q2.女性は、男性に比べ尿酸値が上がりにくいと聞きますが、最近では若い女性の「痛風」が増加しているとも言われるのはなぜですか?

血液中の尿酸の濃度は次の2つのメカニズムで上昇します。

(1)尿酸の合成増加
内臓脂肪の蓄積が過剰である場合や、プリン体・果糖・アルコールを過剰に摂取している場合、肝臓において尿酸の合成が増加します。

(2)尿酸の排泄減少
内臓脂肪の蓄積や炭水化物摂取が過剰である場合、血糖値を下げる作用を持つインスリンも過剰に分泌されています。過剰なインスリンは、腎臓において尿酸の排泄を減らし、高尿酸血症を引き起こします。

 

また、腎臓で尿酸の排泄を促す役割を持つ女性ホルモンの分泌が減少したときにも、血清尿酸値は上昇します(参照1)。さらに、肉の摂取過剰や野菜・海藻の摂取不足などで尿が酸性に傾いている場合にも尿酸の排泄は減り、高尿酸血症に至ります。
高尿酸血症の患者さんのうち、(1)のみが15%、(2)のみが60%、(1)+(2)が25%を占めるといわれています(参照2)。
高尿酸血症を持つ割合は、閉経前女性では1.3%、閉経後女性では3.7%です(参照3)。成人男性の約30%に高尿酸血症がみられますので、特に閉経前女性では非常に少ない病気であることがわかります。ここには女性ホルモンの尿酸排泄促進作用が強くかかわっています。

 

上述のように、女性ホルモンは、腎臓で尿酸を尿中に排泄させる作用を持っています。しかし近年、特に若い女性では、低体重、ダイエット、睡眠覚醒リズムの乱れ、ストレス、過度な運動などにより、正常な排卵が妨げられ、女性ホルモンの分泌が低下するケースが増えていると考えられます。これにより尿酸の排泄も低下し、高尿酸血症や痛風に至るのです。

Q3.尿酸値が高いとどういう症状が現れますか。また、関係のある病気もあれば教えてください。

■高尿酸血症に合併するもの

・痛風関節炎
尿酸ナトリウムの結晶が関節に沈着し、この結晶を異物と判断した白血球が集まって、激しい炎症と痛みを起こした状態です。足の親指の付け根に生じやすいことはよく知られています。

・痛風腎
尿酸ナトリウムの結晶が腎臓に沈着し、腎臓のはたらきを低下させた状態です。悪化すると人工透析が必要になります。

・尿路結石
高尿酸血症では、尿酸その他の尿中に溶けにくい物質が核となって石をつくります。尿酸結石、シュウ酸カルシウム結石、リン酸カルシウム結石ができやすく、痛みの発作を招くことがあります。

・皮下結節(痛風結節)
長期間にわたり高尿酸血症を放置した場合、皮膚に尿酸ナトリウムの結晶が沈着してできるコブ状のできものです。

・心血管や脳血管の病気
血液中から血管の壁に取り込まれた尿酸は、血管の壁を厚くしたり、血管に炎症を引き起こしたりして動脈硬化を促します。また、尿酸がつくられる際には活性酸素が発生し、これが血管の炎症を生じさせ、動脈硬化を促します。これが心血管や脳血管の病気を招くのです。

■メタボリックシンドロームとのかかわり

メタボリックシンドロームでは、腹部内臓周囲の脂肪が蓄積していますが、この状態ではQ2で挙げた尿酸値上昇のメカニズムを2つとも生じさせることになり(参照2)、高尿酸血症や痛風が生じやすくなります。

■尿酸がアルツハイマー病を減らす可能性

尿酸の好ましい側面を一つ、ご紹介します。最近の研究で、痛風の患者さんにはアルツハイマー病にかかる人が少ないことがわかってきました(参照4)。尿酸は強力な抗酸化作用を持つ物質であり、神経を保護することがその理由とされています。

Q4.尿酸値を上げないためには、どういう改善策や予防法があるのでしょうか。

尿酸の合成増加や排泄減少の原因を取り除くことが、高尿酸血症の予防や改善につながります。プリン体を含む食物を控えるよう指導されることも多いと思われますが、血液中の尿酸のほとんどが自分の細胞に由来するものですので、厳格にプリン体を制限した場合でも、血清尿酸値の低下は1.0mg/dLも期待できません。むしろ、性別にかかわらず、内臓脂肪を蓄積させない取り組みや飲酒の制限が大切です。

メタボリックシンドロームに該当する男性では、特に高尿酸血症が多くみられますので、次の取り組みが必要です。

(1)内臓脂肪を減らす
適切なカロリー摂取とBMI25未満をめざし、有酸素運動を習慣化しましょう。

(2)過剰な炭水化物摂取を避ける

(3)アルコールを控える
ビールに限らず、アルコールはすべて尿酸値を増加させます。日本酒の場合は1日1合未満、ビールの場合は1日500ml未満にすべきでしょう。

(4)果糖の過剰摂取を控える
果物に含まれる糖類として知られていますが、果糖ブドウ糖液糖として清涼飲料水などに多く含まれますので注意が必要です。

(5)プリン体が多い食物の摂取を控える
ビール・動物の内臓・魚の干物のほか、クロレラ・核酸・ビール酵母・ローヤルゼリーといったサプリメントにも多量に含まれますので、控えましょう。

(6)肉類の摂取を減らし、野菜や海藻の摂取を増やす

 

女性では、尿酸排泄を促す女性ホルモンの分泌が低下しないよう、低体重や急激な体重減少を避け、夜間に十分な睡眠をとり、自分に合ったストレス対処法を持ちましょう。

 

 

(参照1) Hum Reprod. 2013.28(7):1853-1862
(参照2) 成人病と生活習慣病.2013.8.994-1000
(参照3) 痛風と核酸代謝2006.30:1-5
(参照4) Ann Rheum Dis. 2016.75(3):547-551

ちなみに…日常生活において少しでも気になることがある方は

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監修

内科医: 吉田 菜穂子